酒井和彦の森の学校 2020冬
シリーズ「美しい森をたずねて」
「美しい森をたずねて」シリーズを4回にわたってお届けします。
植栽・下草刈り・間伐や子供たちに説明する時なども、この木はあと300年経ったらどんな木になるだろうと皆さん心に「巨木の森」を尋ねて活動してます。
私の訪ねたいろんな森が何か心の琴線に触れることがあれば幸いです。
第1回:奥会津松坂峠のブナの森
第2回:憧れの日高山脈・知床
第3回:アメリカインディアンの森
第4回:ドイツ酸性雨の黒い森
第4回:ドイツ酸性雨の黒い森
「おーリンデンバウム おーリンデンバウム・・・」
と若い時に習った「樅ノ木の歌」を出だしだけですが口ずさみながら憧れのドイツのシュバルツ(黒い)バルド(森)地方を訪れました。
案内の森林官はマイスターだそうで成長量とか伐採率などの説明が多く、酸性雨で枯れている針葉樹の説明はあまりしてくれませんでした。誇りである鬱蒼とした黒い森が病んでいることをあまり外国人に話したくなかったのかなと思います。
36年前頃の話で日本では酸性雨は大きな問題にはなりませんでしたが、ドイツではそれがきっかけで緑の党が誕生したのだそうです。日本では2000年に入ってからでしたか、NOx・SOxの方が大きな話題となり、その後に地球温暖化の問題に移ってきている気がします。
散策している人が沢山いてドイツ人は森が大好きなことをその時初めて知りました。
今からヨーロッパ旅行をされる方はこのドイツのシュバルツバルド地方もお勧めします。考えてみるとワンダーフォーゲルもドイツ語でしたし、十勝平野に似た丘陵の地形で森の好きな人たちに沢山会えると思います。個人的には牧歌的な風景が上士幌あたりに似ていると思います。
私達は今から行くバーデン・バーデン温泉は海水パンツが必要なことを聞きみんな気もそぞろになっていました。
ドイツの黒い森地方から隣のオーストリアに行きました。
当時は、いろんな人に「ウイーンの森」とはどこか聞いても明確な答えは得られませんでした。今日あなたが行ったノイシュバンシュタイン城あたり全部「ウイーンの森」だそうです。オーストリアの森林官の説明も同じなので納得しました。
この森にはあまり感動しなかったうえに、更にスリにあってしょげているところに食後のウイーン名物「ザッハトルテケーキ」の甘さに追い打ちを掛けられて、この街は好きになれませんでした。
音楽とか歴史に関心のない私のような人は「ウイーンの森」を語る資格がありません。
このときに見たタワー集材機が縁となって、私は定年後JICAボランティアとして活動することになるのです。
これは中米での写真ですが、後ろに見えるのがオーストリア製のタワー集材機で、木を空中で運ぶために脆い熱帯の林地を傷めません。オーストリアは優れた林業技術を持っており、日本でも長野県などでフォーラムを開催しています。
私は15年ほど前に大使館の人に「オーストリアに森林ボランティアはありますか?」と聞いたら「森を護るための森林マイスター制度が確立しているのでボランティアはいません」でした。
古い私は徒弟制度っていいものだと理解しています。
(酒井)