酒井和彦の森の学校 2020秋

シリーズ「美しい森をたずねて」

「美しい森をたずねて」シリーズを4回にわたってお届けします。

植栽・下草刈り・間伐や子供たちに説明する時なども、この木はあと300年経ったらどんな木になるだろうと皆さん心に「巨木の森」を尋ねて活動してます。

私の訪ねたいろんな森が何か心の琴線に触れることがあれば幸いです。

第1回:奥会津松坂峠のブナの森
第2回:憧れの日高山脈・知床
第3回:アメリカインディアンの森
第4回:ドイツ酸性雨の黒い森

第3回:アメリカインディアンの森

1969年6月にオレゴン州のアメリカインディアン居留地を訪ねる機会がありました。

砂漠のようなロスアンゼルスを出てサンフランシスコを過ぎ(今120万ha消失の山火事地帯)、北上するにつれて森が濃くなり、レッドウッド保存のための沢山のカリフォルニア州立公園をすぎてオレゴン州のクラマスフォールズという小さな町に着きました。
製材所で成り立っている感じでした。
資源王国アメリカは森林でも王国でした。
トランプさんが「偉大なるアメリカをもう一度」と言っていますが、その頃のアメリカは何でも世界一でした。
私は当時32才でまだ車がありませんでしたが、ロスの日系2世は2台持っていて、テープで美空ひばりを聞いていました。

バー2.4mの鋸の見学が目的でしたが・・・

左の美しい木目のレッドウッド(セコイア)の貯金箱は、途中に立ち寄ったリチャードソン州立公園で買ったもので、いまだに私の棚に残っています。
辺材心材のコントラストが美しい寄木細工調です。皮は厚くてリグニン(樹脂質)の多い性質が山火事にも強く、また高さ100m近く育っても倒れないで純林を作っているそうです。
アメリカ北西部にはSPFと呼ばれる針葉樹がありますが、木曽五木と同じく聞いても区別が難しい。
秋田の上小阿仁や高知の馬路村梁瀬の天杉も感動しますが、スケールが違いました。

そしてクラマス族アメリカインディアンの住む居留地を訪問しました。

森を大事にしている、狩猟と漁業に生きる森の民としての文化というか尊厳さの維持には、この居留地方式が日本の同化方式よりいいと思いました。

森ボラの研修に行った白神山地より帰り道の青森の自然の森の方が感動した時に同じ思いを持ちました。

カリフォルニアからオレゴンにかけての沢山ある国立州立公園より、この居留地には自然が残っていました。

51年まえの忘れられない記憶です。

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