酒井和彦の森の学校 2021秋
沖縄返還とヤンバルの森
ヤンバルの森が世界遺産に登録されるとのことで、突然48年前の話しに戻します。
沖縄はアメリカから返還されて1年も経つのに、まだパスポートが必要でした。造材で出てくる枝条を粉砕して土作りをするプロジェクトで、私は沖縄県恩納村役場や北部森林組合に行きました。亜熱帯では枯れた植物は分解が早くて畑も森も痩せてしまいます。
澄川で使っていると同じ粉砕機を使って造材した後の枝条を有機肥料にするプロジェクトでした。
リュウキュウマツだけは何とかわかりましたが、常緑広葉樹は種類も多く何度聞いても名前が覚えられませんでした。ツバキのような照葉樹優占の美しい森でしたが、ただただハブを恐れて歩いていました。
案内の金武さんの沖縄弁もよくわかりませんでした。この木質系土壌改良剤は良く熟成させないと、畑にはリグニンなどによりいろんな問題が出ることをうまく説明できなかった自分が今でも悔やまれます。テレビで時々この写真のような沖縄の美しいマングローブの森などが映ると、川上の木質系堆肥づくりが貢献していることを祈っています。
二日酔いの朝に出されたソーキそばも忘れられません。
それより熱帯をよく知らない私はその後に2回赤恥をかくことになるのでした。
赤恥その1:マングローブの炭
恩納村では、マングローブの木は殆どがメヒルギだと教えてもらいました。環境問題で最も大事な木です。熱帯でカニやエビなどの生きものの棲み処になっているからです。
2002年JICAの森林保全の仕事で、40日間メキシコ合衆国内を「木を植えなさい」「マングローブを伐ってはいけません」と言って歩きました。左の写真はその時の薪ドロボーの写真です。
最後にカンクーンではマングローブの生えている美しい湾をボートで観光もしました。ところが帰国して札幌のDIYに行くと「マングローブ炭」として売っているではありませんか。
伐らせているのは自分たちであることが分かり、まさに赤恥をかきました。
赤恥その2:サンゴの森
9年前ですが、国際交流基金の支援で市山さんと中米ホンジュラスに東北の大津波の説明に行きました。国立森林科学大学では、250人の学生・教授陣に防潮林の効果について説明しました。
翌日、カリブ海に面したテラ市でワークショップを開いた時の事です。植物園の若い女性従業員が「津波には防潮林よりサンゴを植林する方が効果があります。日本の南の島では海に潜って岩に穴を明けてサンゴを植林しています」とのことです。その時は何回聞いても理解できず最近になってようやく意味がわかりました。
南の島とは、昔私がお世話になった恩納村の話しなのでした。
津波を和らげるためにサンゴを植林しているとの事でした。恩納村が今やあの裸の赤土を克服され、海ではサンゴの植林に成功されてサンゴの森の楽園の村になっていることにすごく感動しています。
追悼:ちょうどこの文章を書き終わった日に、森ボラ元事務局長市山勝一郎さんの訃報を受け心より哀悼の意を表します。
(酒井)